チャールズ・エリス氏に学ぶ「敗者のゲーム」〜株式市場では負ける?
はじめに
みなさんは「敗者のゲーム」という本を知っているでしょうか。
この本はアメリカの資産運用コンサルタントをしているチャールズ・エリス氏が執筆しました。
チャールズ・エリス氏はインデックス投資の基礎を作った人でもあります。
日本経済新聞のチャールズ・エリスのインタビューの動画がありましたので、参考にさせていただいております。
出典:「敗者のゲーム」エリス氏 動画で波乱相場対策を語る
米著名資産運用コンサルタント インデックス投資の伝道師が示す処方箋
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なぜ株式市場が敗者のゲームとなったのか
チャールズ・エリス氏は次のようにいいます。
- 貯蓄は常に難しいこと
- 長期保有をすること
- 市場より大きなリターンを得ようと思うこと
貯蓄は常に難しいこと
資産形成の貯蓄はとても重要な要素です。
資産形成は老後のため、経済的自由のためにしている人がいます。
しかしその中で様々なイベントがあります。
そのイベントに出会うたびに考え方が変わってしまい資産形成ができない人がいます。
長期投資であること
長期投資は資産形成で増やしていくために重要な要素です。
時間をかければかけるほど資産は雪だるま式に増えていきます。
これは複利の効果が働くからです。
しかし長期投資と言っても簡単なものではありません。
ウォーレン・バフェットとジェフ・ベゾスの会話にこう言うものがあります。
ベゾス「あなたの投資のやり方をすればお金持ちになれるのに、どうしてみんなやらないんだ」
バフェット「それはだれもゆっくりお金持ちになりたい人なんていないからだよ」
長期投資で誰もが一定額以上の資産を作ることが可能です。
しかしそれを誰も待てずに目先の利益を求めてしまうのです。
市場よりも大きなリターンを求めること
これは長期投資とわかっていつつ目先の利益をもとめてしまっていることになります。
売買を繰り返して利益をどんどん積み上げようとする人がいます。
しかしそれはあなただけではなく、世界中の人たちが同じことを考えています。
プロが投資を努力してもインデックス投資に勝てないこともあります。動画内では85%はアクティブ投資家は負けていると話しています。
株式市場で長期で勝つためには
チャールズ・エリス氏はこう語る
非常に優れた頭を持つ集団の運用会社が、誰も興味を持たない小さな企業の研究をし、その企業が属している同じ業界に詳しいとすればその運用会社は長期で平均リターンを上回ることができる。
しかしそんな運用会社をみつけることは難しく、巨額の資金が集まり興味を持たないことがなくなってしまう。
この原因には効率的市場仮説というものが唱えられています。
理由は複数あり
- 多くの人がアクティブ運用をしていること
- アクティブ運用をする人が出てきては淘汰され、限られた優秀な人がアクティブ運用をしていること
- 情報が一瞬で手に入るようになったこと
これらがあげられています。
私がブログで発信しているように情報はインターネットから一瞬で手に入れることができます。
このブログを読んで資産形成・投資に興味を持った人もいるかと思います。
私もベースはインデックス投資ですが、個別株にも挑戦しています。つまり私もアクティブ運用をしている投資家の1人です。
決して優秀ではありませんが、まだ淘汰されてはいません。
2022年1月の調整局面ではレバレッジをかけたETFを保有していた人が損切りをしていました。
レバレッジETFもある意味インデックス投資ですが、それでも淘汰された人たちがいます。
結局市場に残り続けている人は「優秀な集団が考え続けたため」か「インデックス投資で何も考えていなかった」かのどちらかです。
効率的市場仮説でも乱高下をくり返す市場
効率的になったとはいえ、株式市場はニュースを受けて乱高下します。
これは非効率ともいえます。
これは多くの人が大量の情報に触れるようになった結果と言っています。
昔は情報速度、情報の正確性、情報量が個人差が大きくありました。
現在それはなくなっていますが、今では情報に対してたくさんの推測がされるようになりました。
Aさんが推測したことをBさんが推測し、2人の行動の結果マーケットはどのように動くかをCさんが考えるというようなことです。
情報に対してそれぞれ推測し、その推測に対しても推測がされるようになっています。
これによりボラティリティが大きくなるといっています。
俯瞰で見ると直線で上がっているものも、局所的にみると上下があります。
この写真のように最初と最後だけみれば上がっている事実がありますが、その道のりは山あり谷ありです。
この上下は株式市場が変わったわけではなく、投資家の感情を表しています。
株式市場の長期トレンドは企業の収益と金利で決まります。
コロナショック以後の急激な回復は各中央銀行の利下げによるものです。
今後は利上げも予想されており、今までのような急激な上昇は期待できないかもしれません。
前提として、去年も急激に成長したから次の年も成長が確約されているわけではありません。
未来の株価は過去2〜3年で決められるものではないからです。
投資家は様々な対象から資産を選びます。
株式だとしても、セクター、国、会社さまざまなものがあります。
ここ最近はハイテク株を中心に成長してきました。利上げによって大きく成長する可能性は減少が示唆されます。
そのような場合ではどのようなものを買った方がいいかというと、特にこだわりがなければ
新興国の株を含めた全世界株式の投資信託への投資をチャールズ・エリス氏は勧めています。
もし全世界株式の投信よりも成長できる可能性があると判断するならそれに投資すればいいとしています。
これは投資家の目指すところの違い次第です。
こだわりがなければコストを下げて適度なリターンを狙える全世界株式投信でよいと言っています。
株式市場以外の資産の大切さにも目をむける
資産というと株式のみに目を向けがちだが、それ以外にも資産を持っていることを知ることが大切です。
例えば不動産があります。不動産は安定した価値を持っています。
また年金や退職金もあります。これもまた資産と言えます。
若い人で言えば、今後入ってくる収入や時間、貯金も資産となり得ます。
これらは株式市場が決めるものではなく、個人の行動の結果によるものがあります。
長期的に見ると株式・株式市場自体が資産の占める割合というのは大きくなくなります。
また株式市場ばかりにこだわっても必ず資産を最大化できるわけではありません。
株式市場で20年間資産を伸ばし続けてきた人が今後20年間も資産を伸ばし続けることができる保証はどこにもありません。
予測するだけ無駄だということなのです。
株式市場の変動は各個人の推測によるものと言っていましたね。
これは下落・上昇のトレンドを作ります。
人々は市場の悪材料が出ると予測を始めます。
「これから大変なことになる。下落は長期で続くだろう」
これにより株式が売られ、現金比率を高めようとする人がでてきます。
推測により下落し、投げ売りによってさらに下落します。
これはバネのように反発力をためていきます。
そしてある日突然見方が変わり、好調の兆しが推測されます。
「悪い材料は出尽くした。あとは上昇するだけだ」
その兆しで株価は上昇し株式は再度買いが集まり、株価は上昇します。
以前の株価より上昇すればさらに買いが集まります。このようにして株価の上下が形成されます。
「いつまでもこんな上昇が続くわけがない」
こうして推測されまた株価は下がりトレンドラインに戻ります。
このようにして推測が推測を呼び、株価のボラティリティが形成されますが、これらを予測することは不可能であり、無意味です。
それならば、コストが安いものを持ち、シンプルに投資するのがよいのです。
まとめ
チャールズ・エリス氏は最後にこのようにまとめています。
現在おきていることに一喜一憂してはならない
そうせず長期にわたって株式投資を続けていれば大きな利益を手にすることができる
インデックス投資の生みの親とも言える人の発言はやはりとてもシンプルでした。
インデックス投資はシンプルな投資方法です。
シンプルだからこそ無駄がなく、結果も洗練されています。
逆にシンプルであるがゆえに長期では退屈な投資になり続けることができない人がいるのも事実です。
あなたはどんな投資方法を選ぶでしょうか。
投資のスタイルはひとそれぞれです。
今回のインデックス投資を基本とした方法は再現性のある方法です。
こだわりがない人は一度取り組んでみるべきでしょう。
読んでいただきありがとうございました。