学生納付特例で猶予された保険料、払うべき?追納?繰り下げ受給?
はじめに
みなさんは20歳になった時に年金の保険料の支払いはどうしていたでしょうか。
20歳の時に学生である人は学生納付特例を使用しているかと思います。
親が代わりに支払っているという人もいるかもしれません。
今回は学生納付特例を使用した時に保険料の追納をすべきかを考えてみます。
年金は老後を支える収入の柱になり得ます。
資産形成がしっかりできている人であれば、収入の柱をさらに強固にさせることができます。
読んでいただければさいわいです。
よろしくお願いします
学生納付特例とは
学生納付特例とは20歳以上の学生は申請することで国民年金保険料の支払いが猶予される制度です。
20歳以上になれば国民年金保険料の支払いは義務ですが、猶予をうけることができます。
<学生納付特例を受ける条件>
学生納付特例を受けようとする年度の前年の所得が一定以下(※1)の学生(※2)
(※1)所得基準(申請者本人のみ)
128万円(令和2年度以前は118万円)+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等
(※2)学生とは、大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校及び各種学校(※3)、一部の海外大学の日本分校(※4)に在学する方で夜間・定時制課程や通信課程の方も含まれますので、ほとんどの学生の方が対象となります。
(※3)各種学校
修業年限が1年以上の課程に在学している方に限ります(私立の各種学校については都道府県知事の認可を受けた学校に限られます。)
(※4)海外大学の日本分校
日本国内にある海外大学の日本分校等であって、文部科学大臣が個別に指定した課程国民年金保険料の学生納付特例制度:日本年金機構
難しく書かれています。
独身の学生であれば、128万円以下の所得であれば対象となります。
対象になれば、保険料の支払いの猶予を受けることができます。
ここでポイントは猶予であり、免除ではないことです。
年金を受け取るためには国民年金保険料を40年間納める必要があります。
40年間納めることで基本的に満額もらえることになります。
学生納付特例を使うと学生であった期間は国民年金には加入していますが保険料は未納付という扱いになります。
未納付になっているため、もらえる年金は少なくなりますが、60歳から年金はもらうことは可能です。
学生納付特例を使わないで国民年金保険料が未納である場合は40年間支払わなければもらうことができません。
つまり4年制大学を卒業して23歳から働き始めたとすれば2年間分は国民年金保険料は未納付となります。
40年間納めなければ年金はもらえないので63歳にならなければ受給資格はないということです。
このように考えると学生納付特例を使う人が多いかもしれませんが、保険料を増やすためには追納をする必要があります。
学生納付特例の追納は申請後から10年まで
学生納付特例はあくまでも納付の猶予であるため、満額もらうためには追納する必要があります。
追納の期間は申請から10年以内に行う必要があります。
20歳の時に申請したとすれば30歳までに支払う必要があります。
国民年金保険料は年間約20万円です。
学生納付特例の使用した期間が2年とすれば40万円近くを追納する必要があります。
20〜30代の時の40万円というのはとても貴重なお金です。
車、家、出産などライフイベントが多く、出費も多くなりがちです。
その時期での40万円というのは痛手とも言えます。
未納期間があるともらえる年金額が減る
年金の受給額は保険料の払い込み月数に比例します。
通常20歳から60歳までの40年間(480ヶ月間)保険料を未納にする事無く全て払いきった場合に、
65歳から満額で年間約80万円弱の年金をもらう事が可能です。
しかし未納期間が少しでもある場合、その未納の月数に応じてもらえる年金額が減額されてしまいます。
具体的には、1年間未納がある事で減らされる額は年約2万円程度です。
月数に比例するため5年間の未納で約10万円減額、10年間の未納で20万円減額となります。
未納期間が長くなればなるほど将来の年金は減ることになります。
学生納付特例を使った人で年金を満額もらうためには未納期間はできるだけ作らず、迅速に追納して未納期間をなくすということが重要です。
追納なしで年金受給額をできるだけ満額に近づける方法
追納の仕組みを使わないで保険料納付済み期間を増やして、年金受給額を満額に近づける方法はあります。
それは任意加入制度を利用する方法です。
この制度の対象となるのは
- 60歳時点で年金保険料の納付期間が10年に達しておらず受給資格を満たさない人
- 未納期間があり満額受給できない人
このような人になります。
申請することで60〜65歳まで加入することができます。
この期間に保険料を納付することで年金受給額を増やすことができます。
ただし納付済み期間が480ヶ月に達した時点で終了となります。
60歳になって子育てや住宅ローンも完済した後に経済的に余裕が生まれてから支払うということです。
繰り下げ受給でも受給額を増やせる
年金は基本的には65歳以上に受給が開始となります。
ここで繰り下げ受給をすることで年金の受給額を増やすことができます。
繰り下げ受給時の増額率は
(65歳になってからの月数) ✖︎ 0.7% で表すことができます。
66歳0ヶ月で1年受給期間を繰り下げると8.4%受給額が増えることができます。
480ヶ月保険料を納めた場合の年金受給額は78万900円/年です。
未納期間一年あたりで2万円受給額は減少します。
2年間未納期間があるとすると受給額は約74万円です。
この受給額に対して繰り下げ受給をして67歳から受け取るとすると
24ヶ月 ✖︎ 0.7 =16.1%増額することになります。
74万円 ✖︎ 1.161 =85万900円となります。
年間7万円の増額となります。
未納期間が2年で繰り下げ受給で2年受け取りを遅らせた場合の損益分岐点は25年になります。
25年間以降は2年間未納期間があっても満期保険料支払いした場合よりお得になります。
健康に自信のある人はやる価値はあると考えます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
年金は老後を支える柱の一つです。
資産形成と年金があればお金が足りないということは基本的に防げます。
学生納付特例を利用して未納になっている場合には年金は減額となります。
増やす場合には追納が必要ですが、10年間しか期限がなくライフイベントが多い時の追納は経済的に厳しくなります。
減額された部分を他の資産形成で補う方法もあります。
任意加入制度や繰り下げ受給により満額受給に近づけることは可能です。
- 追納する
- 任意加入制度を利用する
- 繰り下げ受給をする
それぞれ状況は異なるためみなさんそれぞれ考えてみてください。
今回は読んでいただきありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。