国家試験について③
これまでのお話:国試勉強について①
国家試験の問題を解くうえで
臨床現場と違う点を意識しておくことが必要です。
臨床現場では自分で必要な情報を自分で得ます。
得た情報から必要な検査・治療を行う流れです。
しかし国家試験では予め全て情報が書いてあります。
それ以外の情報は得ることができません。
そのため記されている情報から判断する必要があります。
そこを理解してもらった上で
今回は国家試験のテクニックについて書いてみます。
〇疫学と主訴
特に長文の臨床問題を解く際に役立ちます。
臨床問題の最初に疫学と主訴が書いてあります。
それは重要であるから書いてあります。
そして疫学と主訴を考えながら過去問を解いていると、
実際の国試を解く時にも反応できるようになります。
これは実際の現場でも使うことができます。
「60歳男性の移動する胸背部痛」
「若い女性の突然の右下腹部痛」
「心窩部痛が移動して右下腹部痛」
などキーワードに反応する訓練を過去問で意識的に解くと理解が深まります。
友人同士で主訴と疫学の問題を出し合うことでイメージしやすくなります。
注意!
ただしひとつのキーワードで踊らされてはいけません。
イメージしやすくさせるだけで、それだけで正解になるものではありません。
〇最後から読む
疫学と主訴を読みました。
みなさんはそのあと続けて読みますか?
私は疫学主訴のあとは画像や選択肢を見ます。
そうすると何を聞きたい問題なのかを
ある程度あたりをつけることができます。
臨床の現場でも画像診断や生検を
確定診断で使うことが多いでしょう。
ということは画像を見れば診断は文章を見なくてもつけることができます。
選択肢のことも何を聞きたいかを予め知った状態で
問題文を読むことができます。
長文の問題を読ませるけど、読ませた内容とあんまり関係のない
選択肢の問題も時々見られます。
何も目標がないまま長文を読むのは正直つらいです。
国家試験を通して解いてみるとわかると思いますが、
1日の最後の方の臨床問題は
知識を問われているというより
体力や精神力を問われているように思います。
模試で国家試験と同じ時間割でやっても
1日終わっただけで疲労感を感じるものです。
1日中2日間頭をフルに使う状況では
省エネ運転も大切です。
選択肢を見て指針を決めて長文を読む場合と
何もしないでそのまま読む場合では労力が違います。
まとめると
私は疫学→主訴→(画像)→選択肢→(解答)→検査値→(解答)→文章→解答
の順で解いていく流れです。
決して最初と最後だけ読んで他は読まないということではありません。
疫学、主訴、選択肢を見ても解けない問題はあります。
そのような場合には通して読みます。
でも手を抜ける部分は抜いたほうがいいのです。
私は国家試験の臨床問題は実際のカルテだと思って解いていました。
問診を取り、必要な検査を考え、正確な診断をつけ、適切な治療を行う。
この流れのどこかを問題にしているだけです。
カルテに書いてあることは大事だから記載されています。
問題の文章には必ず疾患のヒントが書いてあります。
そのヒントを使って問題を解いていくのです。
国試の臨床問題はどこか一つだけの文章だけで診断をつけるものではありません。
一緒に勉強している友人に、子宮破裂の臨床問題の過去問の質問をされました。
「子宮筋腫の手術歴があるから子宮破裂なの?」
と聞かれました。
しかし、その問題は「帝王切開をしている」という情報もありました。
この二つから
子宮はダメージを受けていて弱くなっていることが考えられるから
子宮破裂が考えられるということです。
友人は読み落として反応できていなかったのです。
情報が一つしか書かれていないからわからない問題は
国家試験ではほぼ出されることはないでしょう。
必ず複数の情報があります。
ただ、友人のようにその情報に反応できるかどうかの問題です。
実際の臨床でも同じです。
「Aという検査が陽性だったからBという疾患である。」
ということはしないはずです。
複数の問診項目からBという疾患が疑われる
↓
Aという検査をして陽性だからBという疾患である
という流れが正しいはずです。
この流れは国試を解くうえでも重要になります。
国家試験はいかに正解するかが重要です。
そのため問題文を最初から読んでも評価はされません。
評価されるのは解答だけです。
それならいかに正解するかを考えた方がコスパがいいはずです。
必要な情報に正しく反応できる練習を過去問でするとよいです。
今まで書いたことは国家試験に限ったことで、
ペーパーテストであることを最大限使った解き方です。
国家試験を解くことと臨床現場の違いは区別することを理解してください。
医学生のみなさんの少しでも参考になると嬉しいです。