キャッシュフロー計算書(C/S)を理解しよう
皆さんはキャッシュフロー計算書を理解しているでしょうか。
キャッシュフローなんて考えたことない人もいるかと思います。
キャッシュフローを理解すると、お金の流れが理解できます。
お金の流れを理解することは企業のことを理解するのに役立ちます。
そしてお金の流れでいえば、家計のことでも役立てることができます。
今日も学びを深めていきましょう。
読んでいただければさいわいです。
キャッシュフロー計算書とは
キャッシュフローとはなんでしょうか。
一言で言えば、一年間で現金・預金がどのように動いたかということです。
なぜ現金の動きを知る必要があるのでしょうか。
現金は企業間や企業と消費者の間で取引をする際に必要になります。
現金がなければモノを購入したり、利益を受け取ったりできません。
それを可能にしたのがクレジットです。
クレジットは基本的に後払いになります。
例えばモノの製造・販売する企業があったとします。
原料の購入に100万円かかったとします。
このときに手元に現金がなかったとします。
その原料を使って合計120万円の製品をつくりました。
これがクレジットで払われたとすると、実際には売れていて売上もあります。
ここで税金の支払いがきたとします。今120万円の売り上げはありますが、手元には現金がありません。
本当は20万円の儲けがあったはずなのに、現金がなくて支払いができないということになります。
この場合どうなるかというと、黒字倒産ということがおきるということです。
こうならないためにもキャッシュフローを理解することは必要なのです。
キャッシュフローを理解して現金の流れを理解しましょう。
キャッシュフローの内容
キャッシュフローの中身についてみていきましょう。
キャッシュフローは大きく分けて5個の要素があります。
- 期首預金
- 営業活動
- 投資活動
- 財務活動
- 期末預金
この中でも重要なのが2.、3.、4.です。
以下の図は2021年4月28日に発表されたAppleの第2四半期決算の
キャッシュフローを図解したものです。
今回はこの図を参考にしながら話していきます。
出典:Apple 2021年第2四半期決算 (単位は百万ドル)
図の見方としては
青矢印:現金が増えた
赤矢印:現金が減った
営業活動・投資活動・財務活動で最初の現金がどのように動いたかを表しています。
ではそれぞれの要素をみていきましょう。
1.期首預金
5.期末預金
この2つを一気に見ていきます。
期首預金・期末預金はそれぞれ期間の始まり・終わりにどれだけの現金があるかを表しています。
最初に比べて現金がどれだけ増えたのか、減ったのかがわかります。
スタートとゴールのような関係です。
2.営業活動
営業活動とは本業の活動で得た利益です。
この営業活動がプラスであることはキャッシュフローの上では最も重要なことです。
営業活動がプラスになるということは事業の運営が健全であることを表しています。
プラスである場合は、事業拡大や株主還元ができたりします。
逆にマイナスである場合は早急に事業の立て直しが必要になります。
また営業活動のマイナスを補うために、投資活動・財務活動で補う必要があります。
4.投資活動
この投資活動はマイナスであることは必ずしも悪いことではありません。
例えば設備投資を行った場合、これは投資活動としてみなされます。
この設備投資はさらに利益を増やすために必要な出費です。
設備投資をすると投資活動はマイナスになりますが、企業の状態はむしろ良くなります。
結果としてはプラスの行動と言えます。
4.財務活動
財務活動はシンプルです。
簡単に言えば借金の返済・借金して資金調達のことを表しています。
返済ならマイナス、資金調達ならプラスになります。
資金調達というのは全てが借金というわけではありません。
上場企業である場合は新規に株式の発行を行うことでも資金調達できます。
〇ここまでのまとめ
プラス | マイナス | |
営業活動 | 本業で利益を上げる | 本業で損失が出ている |
投資活動 | 事業や株の売却など | 事業や株への投資 |
財務活動 | 資金調達を行う | 借金の返済を行う |
キャッシュフロー計算書で何ができる?
キャッシュフロー計算書は現金の流れがわかると言いました。
現金の流れがわかるということは企業の状況がわかります。
Appleのキャッシュフロー計算書で見ていきましょう。
出典:Apple 2021年第2四半期決算 (単位は百万ドル)
営業活動はプラス、投資活動、財務活動はマイナスになっています。
結果として期末預金は期首預金より増えています。
これはとても健全な経営状況と言えます。
本業などの活動によって大きく利益をあげています。
そこから適切に設備投資や借金の返済を行っています。
Appleは優良企業のはずなのに借金があるのでしょうか。
これは自社株買いをしているためです。
財務活動は-43,575百万ドルとなっています。
このうち43,323百万ドルは自社株買いに使われたものです。
他のマイナス要因、プラス要因もありますがほとんどが自社株買いの要因です。
自社株買いは株主にとってもApple側にとってもメリットのあることです。
そして期末預金は期首預金よりも増えています。
これで来期も資金がしっかり準備されている状態で経営を行うことができます。
キャッシュフロー計算書をみてAppleの現金の状況が健全なことがわかりました。
補足:自社株買い
自社株買いを行うと株価に変動がない場合1株当たりの利益が上がります。
500ドルの株価で1000万株が発行されている企業があったとします。
この企業の純利益が10億ドルだったとします。
この時の1株当たりの純利益は10億ドル/1000万株=10ドル/株となります。
同じ条件で100万株を自社株買いを行ったとします。
発行株式数は900万株になります。
株価が同じとき1株当たりの純利益は10億ドル/900万=11.1ドル/株
一株当たりの利益が増えました。
1株が生み出す利益が生み出す上昇したので、この株の価値が上がっているといえます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
キャッシュフロー計算書を読むことができると
企業の現在の経営状況がわかります。
決算書を読むこともできるようになります。
決算書について、理解することは重要です。
しかし最初から完璧に読むことができる必要はありません。
少しずつ慣れていけばよいです。
目にする時間を増やすと、理解するためにかかる時間も早くなっていきます。
継続していきましょう。
読んでいただきありがとうございました。