GPIFの2020年度の業務概況書について~運用益+37兆円!?
はじめに
みなさんはGPIFというものをご存じでしょうか。
年金積立金管理運用独立行政法人のことです。
年金の資金を運用している機関です。
この機関の2020年度の運用益が37兆7986億円を稼ぎ出しました。
37兆円というのは途方のない額のように聞こえます。
例えとすると日本一の売上高である企業はトヨタ自動車です。
トヨタの1年間の売上高は32兆円です。
日本の国家予算は2020年度は102兆円だったので約三分の一を1年間で利益を出したことになります。
なぜこのようなことになっているのか、
そしてGPIFから学べることがあるでしょうか。
みていきましょう。
読んでいただければさいわいです。
GPIFとは
GPIFとは年金積立金管理運用独立行政法人のことです。
この機関について知るためには年金の制度について知っておくことが必要です。
年金の制度とは
年金は65歳以上になると受け取ることができます。
このお金は64歳以下の現役世代によって支払われているお金です。
現在年金を受け取っている人たちのお金は元々は現在の現役世代のお金であるということです。
現在の現役世代が年金をもらうときになると、将来の現役世代のお金が給付されるようになるのです。
このようにして年金は回っています。
しかし日本では少子高齢化が叫ばれています。
少子高齢化が進むということは年金を支払う人が減り、年金を受け取る人が増えるということです。
受け取る方は一度支払われているものが減ってしまうと不満に感じてしまいます。
支払う方もたくさん払うようになると不満が大きくなります。
そこで今後支払う年金の一部を運用して年金の制度を破綻させずに、
現役世代の負担を減らそうという目的でGPIFが設立され運用が開始されました。
そのGPIFの2020年度の運用成績がすごかったのです。
収益率 25.15%
収益額 +37兆7986億円
トータルリターン 3.61%
累計収益額 +95.3兆円
運用資産額 186兆1624億円
この1年間の資産運用額は目を張るものがあります。
2020年度の運用成績についてGPIFは
市場環境がたまたまよく追い風に乗ることができた
というように話しています。
2020年というのはコロナショックがありました。
そこで各国政府は市場に大量のオカネをばらまきました。
そうすることで経済を刺激し、1年とたたずショックから回復しました。
その市場にあふれた大量のお金により米国、日本の株価は軒並み回復しました。
つまりこの成績は『たまたま』ということです。
GPIFの運用方法
GPIFの運用方法として
- 運用目的
- ポートフォリオ
- 長期的な視点
というところからみていきたいと思います。
運用目標
長期的に積立金の実質的な運用利回り(積立金の運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたもの)1.7%を最低限のリスクで確保すること
というように明示しています。
公的年金の収入と支出のバランスがとれるようになっています。
年金給付額というのは賃金の上昇によって増加します。
賃金は長期的に増加するようになっているため、給付額も増加します。
しかし少子高齢化の影響があるため現役世代の負担が増えないようにする必要があります。
そこでGPIFの運用によって賃金の上昇率分でバランスをとるようにします。
ポートフォリオ
ポートフォリオとしては国内債券・外国債券・国内株式・外国株式を25%ずつ保有するようにしています。
このバランスというのは中期目標というのを定期的に設定して見直しています。
各資産のバランスが目標に収まるように設定しています。
このバランスの理由としては
長期的に積立金の実質的な運用利回り(積立金の運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたもの)1.7%を最低限のリスクで確保すること
という目標を達成しつつ、最もリスクの小さいポートフォリオになるようにするとしています。
とても堅実な計画で運用されているということです。
長期的な視点
GPIFは超長期的な視点で運用を行っています。
2020年度がたまたま波に乗れただけというように
1年毎の成績には大きくこだわっていません。
積み立てNISAのところでもあったような話です。
短期的には資産は上下するかもしれないけど最終的には増加するという話です。
実際にGPIFも損失を出していたときはありますが、トータルではプラスになっています。
またトータルが3%程度になっていますが、
もっと多く利益を狙えばいいじゃないかと考える人もいる科と思います。
GPIFの目的は実質利回りが1.7%を目指すということでした。
GPIFは利益を追求する機関ではありません。
利益を追求すると損失が伴う可能性が高くなります。
目標には『最低限のリスクで』とも明示されています。
そのためGPIFは2020年は目標を達成できているということなのです。
GPIFから私たちが学べること
私たちがGPIFから学べることはどんなことがあるでしょうか。
- 長期分散投資
- 目標をはっきり持ってぶれない投資スタイル
この2つについて考えてみましょう。
1.長期分散投資
GPIFは超長期分散投資を行っています。
王道のインデックス投資は短期的には損失を出すかもしれません。
しかし長期的に行うと必ずプラスになるという歴史があります。
GPIFは過去20年間の投資で実際にプラスの成績を出しています。
これを数十年以上のスパンで行うつもりなのです。
短期的にはマイナスになっても長期的な目線でみていきましょう。
このことは資産形成でも同じことが言えます。
資産運用も短期的には減ったりします。
GPIFでは運用額が減ってしまうと野党から批判を受けます。
自分の資産は誰かから批判されることはないので心配しないでください。
長期的に見てどのようにしていくことが必要か考えるようにしましょう。
分散投資・長期投資については本家のサイトより引用したいと思います。
2.目標をはっきり持ってぶれない投資スタイル
資産運用をしているとだんだん目的や目標がぶれてくることはないでしょうか。
- 安定的な資産運用を目標にしていたのにハイリスクな投資をしていた
- 豊かに暮らそうと資産形成しているのに、日々の生活で苦しんでいる
このような方はいらっしゃらないでしょうか。
GPIFは目的・目標、手段をしっかり明示しています。
それに従って運用を行っています。
資産運用は退場してしまうと戻ってくることが大切になります。
いかに退場することなく、続けることができるかなのです。
退場しないためには実現可能な目標に向かってぶれずに運用を行っていくことです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
GPIFのスタイルを学ぶことで自分の資産形成に活かすことができます。
投資信託は資産形成したいと考えている人のお金を運用しています。
投資のリスクを持つことを許容した人のお金を運用しているということです。
仮に減った場合は怒る人もいますが、仕方のないこととも言えます。
しかしGPIFに集められたお金は運用されることを望んでいない人のお金も入っています。
このお金が減るということは確かに批判がより集中してしまいます。
自分のポートフォリオは誰かに批判されることはありません。
そのため自分で見直す必要があります。
目的をはっきりさせて手段を明確にしてみましょう。
資産形成が加速していくように勉強を続けていきましょう。
読んでいただきありがとうございました。