自社株買いとは~EPSの上昇や株価の上昇はなぜ起きる?~
みなさんは自社株買いについてご存じでしょうか。
自社株買いは企業が発行している株式を自ら買い戻すことです。
なぜ企業は自社株買いを行うのでしょうか。
その理由を考えていきたいと思います。
読んでいただければさいわいです。
自社株買いとは
自社株買いとは発行している株式を自らの資金を使って買い戻すことをいいます。
Appleが発行しているAppleの株式を買い戻すということです。
自社株買いを行うと何が起きるでしょうか。
これは株主への利益配分の増加させるために行われます。
なぜ自社株買いを行うと株主の利益配分が増加するのでしょうか。
自社株買いで何が起きる?
自社株買いをすると株主への利益配分が増加すると書きました。
それがどうして起こるでしょうか。
発行している株式が1000万株あったとします。
発行済み株式の10%(100万株)を自社株買いを行ったとします。
このとき発行済み株式の絶対数は減っています。
しかし利益は変わりません。
利益が変わらず、発行済み株式の数がへるということは1株当たりの利益が増えるということです。
この一株当たりの利益のことを英語でEarning Per Stocksの頭文字をとってEPSといいます。
| 自社株買いをしないとき | 自社株買いをするとき | |
| 1億円 | 純利益 | 1億円 |
| 1000万株 | 発行済み株式 | 1000万株→900万株(10%分自社株買い) |
| 10円 | 一株当たりの利益(EPS) | 11.1円 |
EPSが上がることでどんなことがおきるでしょうか。
EPSがあがるということは株主にとってはもっている株式の価値が上がることを意味しています。
需要と供給のバランス
価値というのは市場の需要量に対する供給量で決まることが多いです。
ゴールドを例にして考えてみましょう。
ゴールドは年間の採掘量は決まっています。
採掘量が決まっているということは供給量は一定ということです。
ここでは2000トンとします。
2000トンという決まった量に対して需要量で値段は決まります。
2000トンに対して1万人が買ったり売ったりしていて価格が一定であるとします。

不景気になると安全な資産であるゴールドの需要が上がります。
需要量が増えて10万人が売買しようとするとします。
つまり需要量が10倍になったということです。
需要量が10倍になるということは価格は上がります。
1万人だったときは簡単に買うことができていたゴールドがなかなか手に入らなくなります。
つまりゴールドの希少性が上がっているということになり価格が上がるのです。
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逆に景気がよくなるとゴールドは配当がないため、需要量が減ります。
需要量が減って1000人になったとします。
つまり需要量が10分の1になったということです。
需要量が10分の1になるということは価格は下がります。
1万人だったときは簡単に買うことができていたゴールドがさらに手に入りやすくなります。
つまりゴールドの希少性が下がっているということになり価格が下がるのです。
EPSが上がるということは
EPSが上がるということは株主の持っている株式の価値が上がるということです。
これは株主にとっては1000億円の純利益を1000万人でわけるより
900万人であけあったほうが自分の取り分が大きくなることになります。
このためEPS上昇は株主にとってメリットなのです。
EPSの上昇は企業にとってもメリットがあります。
上場企業は株式にたいして配当を出すことが株主への還元方法の一つです。
企業は自社株買いを行うと配当をだす必要のある株式が減少します。
つまり払うべきお金が減るということです。
またEPSが上昇するということは株式にお得感がでます。
同じ値段だったものがより利益を出す株式になるということです。
株式の世界でもお得なものにはみんな集まります。
結果的に需要が増えることになり株価が上がります。
自社株買いを行うと株価が上昇することが多いです。
自社株買いのメリット
株主にとっては
- 一株当たりの利益が増える
- 株価が上がりキャピタルゲインが増える
企業とっては
- 配当の支払いが減る
- 株価が上昇する
このようなメリットがあります。
自社株買いを行うこと以外に株主への還元を増やす方法として増配という手段もあります。
増配することも人気ですが、自社株買いも同じくらいメリットのある行為です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
自社株買いはたくさんのメリットがあります。
自社株買いをする企業はそれほど資金に余裕がある企業とも言えます。
企業の分析をする際にも役に立ちます。
企業がどのような行動をするのか、行った結果何が起きるかを考えることが重要です。
分析する際に役立てば幸いです。
読んでいただきありがとうございました。

