自社株買いがもたらす数字の変動

はじめに

みなさんは自社株買いが起きると何が起きるがご存じでしょうか。

自社株買いは企業にも株主へのメリットのあることです。

自社株買いについて以下の記事でもまとめてありますので、

読んでみてください。

今回は自社株買いの数値の変化について考えていきます。

読んでいただければさいわいです。

 

 
 
 

自社株買いとPBR

PBRとはなんのことでしょうか。

 

PBRとは純資産と株価の関係から株式の割安性を示すものです。

PBRが1倍未満であると、割安ということになります。

 

PBR = 株価 ÷ 1株当たりの株主資本(BPS)

※1株あたりの株主資本(BPS)= 株主資本 ÷ 発行済み株式数

 

自社株買いがおきるとPBRはどのように変化するでしょうか。

 

株価2,000円、株式発行数10万株、株主資本40億円の企業があったとします。

この企業が1万株の自社株買いを行った場合を考えてみましょう。

 

  自社株買い前 自社株買い後
株価 2,000円 2,000円
株主資本 40億円

38億円

(40億円 - (1万株 × 2,000円) )

発行済み株式数 10万株 9万株 (1万株を自社株買い)

1株当たりの株主資本(BPS)

(株主資本 ÷ 株式数)

40億円 ÷ 10万株 = 4,000円/株

38億円 ÷ 9万株 = 4,222円/株

PBR

(株価 ÷ BPS)

2,000円 ÷ 4,000円 = 0.50 2000 ÷ 4,222円 =0.47

自社株買いをしたことでPBRが0.50→0.47になっています。

 

このPBRの注意点としては、1倍未満になっているからよいというわけではないということです。

1倍未満だから割安になっているわけではないときもあります。

 

またこのPBRの変化は自社株買いをする企業で起きたものです。

PBRが元々低い企業と自社株買いによってPBRが下がったのかは注意しましょう。

 

自社株買いとPER

PERというのは利益と株価の関係性から割安性を図る指標です。

PERが小さいほど割安と判断されます。

一般的な企業のPERは15倍~20倍です。

これより低いPERは割安とされます。

PER = 株価 ÷ 1株当たりの利益

 

株価2,000円、株式発行数10万株、純利益1000万円の企業があったとします。

この企業が1万株の自社株買いを行った場合を考えてみましょう。

 

  自社株買い前 自社株買い後
株価 2,000円 2,000円
当期純利益 1,000万円 1,000万円
発行済み株式数 10万株 9万株 (1万株を自社株買い)

1株当たりの当期純利益(EPS)

(当期純利益 ÷ 発行済み株式数)

1,000万円 ÷ 10万株 = 100円/株

1,000万円 ÷ 9万株 = 111円/株

PBR

(株価 ÷ EPS)

2,000円 ÷ 100円 = 20倍 2000 ÷ 111円 = 18倍

 

自社株買いによってPERが20倍→18倍に下がりました。

PERがさがったということは割安になったと判断されます。

 

ちなみにPERは株価÷EPSで求められます。

EPSは1株当たりの当期純利益です。

つまりPERが20倍になっている企業の株価は

EPSの20倍で株式が取引されていることになります。

別の言い方をすればこの企業の株価を稼ぐためには20年かかるということになります。

 

PERは割安性を図る尺度としてよく使われます。

しかしPBRと同じようにPERだけで割安かどうかを判断するのではありません。

総合的に判断して割安な株を選びましょう。

 

 

自社株買いとROE

ROEとは利益と株主資本から収益性を示す指標です。

ROEが高いほど効率よく株主資本使って高い利益をあげているということになります。

ROE = 1株当たりの純利益 ÷ 1株当たりの株主資本

 

 

株価2,000円、株式発行数10万株、株主資本20億円、当期純利益4億円の企業があったとします。

この企業が1万株の自社株買いを行った場合を考えてみましょう。

 

  自社株買い前 自社株買い後
株価 2,000円 2,000円
株主資本 20億円

18億円

(20億円 - (1万株 × 2,000円) )

発行済み株式数 10万株 9万株 (1万株を自社株買い)
当期純利益 4億円 4億円

ROE

(当期純利益 ÷ 株主資本)

4億円 ÷ 20億円 = 20% 4億円 ÷ 18億円 =22%

自社株買いによってROEが上昇しました。

ROEは10%が収益性が高い目安とされます。

ROEが高いほど効率よく自己資本を使って利益をあげていることになります。

 

企業の目的として利益を上げることがあります。

企業は資本がたくさんあれば色々なことができます。

資本を使ってどれだけ利益をあげることができるかが重要です。

資本がたくさん使って利益がだせるのは普通です。

しかしお金をあまり使わなくて利益を生み出せる企業は優秀ですね。

大きい会社でたくさんの従業員を使って生み出した1億円と

1人でパソコンだけで生み出した1億円の価値は違います。

1人の方が効率よく資本を使えていることになります。

資本をたくさん使っているのに利益が少ない企業は

「無駄遣いが多いんじゃないか」

「経営陣は効率よくできていないのではないか」

という指標になります。

 

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

PBR、PER、ROEからみる自社株買いについて考えてみました。

これらの指標は自社株買いが起きた瞬間にすぐに買い注文が入ります。

みんな割安な株式を求めている結果です。

買い注文がたくさん入ると株価は上がります。

分子に株価がきているPBRやPERは数値が大きくなります。

そのため一瞬で割安感は解消されます。

 

株式の選定にはPBR、PERだけが全てではありません。

総合的に見るようにしましょう。

 

読んでいただきありがとうございました。

 

Follow me!

  • X

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA